ACTION FRAME ON


■ HALF-LIFE  ★★★★★

 Sierra(開発はVALVE)による3Dアクションシューティングゲーム。
 Direct3D/OpenGL対応。


MX300(A3D2)でのレビュー

HALF-LIFE Uplinkレビュー

ASCII DOS/V ISSUE 掲載レビュー



 1998年末にリリースされながら、1998年Best Game of the Yearとの呼び名も高いHALF-LIFE。

 普段Quake系ゲームは敬遠している私だが、ストーリー等の素晴らしさでQuake系の殺伐としたアクションゲームとは一線を画すゲームであると小坂氏より紹介を受けたので、かなりの3D酔いを覚悟して私もプレイしてみる事になった。

 HALF-LIFEでプレーヤーが担当するのはゴードン・フリーマン。
マサチューセッツ工科大学(MIT)出身で、オーストラリアのインシュブルック大学実験物理学研究所所属。

 しかしMIT時代の担当指導教授だったクレイナー博士の推薦で、米政府ブラックメサ研究所の所員として特殊物質ラボラトリで勤務する事となる。

 そしてゲームは、何時も通りのモノレールでの通勤シーンから始まるのである・・・


 HALF-LIFEで使用されている3DエンジンはQuake1と2の3Dエンジンをベースに改良したもので、テクスチャーの細かさでUnreal系3Dエンジンにはかなわないもののその美しい光源処理や、通常のアクションゲームより大幅にポリゴン数が増しているにも関わらず(口ぱくをアニメーションではなくポリゴンで表現等)P2-300+Voodoo2クラスでサクサク動く事など、実に素晴らしい完成度を誇るものに仕上がっている。

 3Dグラフィックス以外でも、HALF-LIFEは最新のサウンドテクノロジーであるA3DやEAXに対応しており、対応音源を使用したときの臨場感には凄まじいものがあると評判だが、ノーマルのDirectSoundにしか対応していないAWE64GOLDでも、ムシが足下で踏みつぶされる音や、モンスターに寄生された研究員が怪しいうなり声を遠くで挙げていたり、巨大なクリーチャーが鉄製の壁の向こうで暴れている音、飛来し爆撃してゆくF16の爆音、地下に響く爆撃の振動などが非常にリアルに再現されている。
はっきり言って、この音だけでもかなりびびってしまう程だ(笑)。

 遠くに聞こえるモンスターの鳴き声や這い回る足音、特殊部隊の無線通信などの効果音で、大体の音源の距離や方向が解るもの素晴らしい。

 これに加えて効果的に明暗を恐怖感を誘うように配置したマップや、優れたAIにより主人公のにおいや物音に気付いて密かに近づいて来るモンスター達が、さらに恐怖感を増すものとなっている。

 この優れたAIはHALF-LIFEの特徴の一つだが、モンスターだけではなく中盤突入してくる特殊部隊の動きも驚くべきものがある。

 まずこちらに気が付いた特殊部隊が突撃してくるのだが、この時に真っ正面から対峙せずに物陰に隠れながら応戦していると、なんとプレーヤーが潜んでる辺りに向かってグレネードを投げ込んで来るのだ!

 さらに、援護射撃をする者、側面に回り込み攻撃してくる者、突撃してくる者と、キャラクターに依って分担を決めているようだ。

 だからHALF-LIFEでは普通のアクションゲームのように、単純に敵がのこのこ近づいてくるのを待ち伏せしたり、何時までも隠れて様子を見るい言ったことがなかなか難しくなっている。

 また、室内に網の目の様にレーザーが張り巡らされ、SpecOpsさながらにセンサー式対人地雷が仕掛けて有ったり、同じくセンサー搭載で近づく生き物を片っ端から始末してしまう自動火器等、驚く事ばかりだ。

 しかしこれらの仕掛けを逆手に取り、トラップに対しては間抜けなクリーチャー達を、こちらの手間無しで始末してもらう事もできる(事も有る(笑))し、プレーヤーもレーザー起爆式や無線起爆式地雷を使用し、頭脳戦を展開する事もできる。

 さらに撃ちまくるだけのQuake系ゲームと異なり、HALF-LIFEでは登場するNPC達もゲーム中で重要な位置を担っている。

 実際NPCの手助け無しでは開けられないゲートも有るし、NPCの警備員に声を掛ければしばらくの間護衛して貰うことも可能なのである。

 またNPCどうしても互いに口論しあっていたり、倒れた警備員を研究所員が心臓マッサージしていたりというシーンも随所で見られる。

 時には特殊部隊vs巨大モンスターの戦い等を傍観する事も有り、これらにはかなり映画的な演出を感じられた。

 なんと序盤には、缶が出てこない自動販売機に八つ当たりしているオヤジまで居るのだ(笑)。

 またトイレをなにげにノックした時に、入ってますよ〜という「ゴホン、ゴホン、カラカラ」リアクションを取られた時には正直驚かされた。気合いが入り過ぎである。

 ちなみにモンスターが敵としてでは無くNPCとして登場する事もあり、その時にはこちらから攻撃を仕掛けない限り独自に細々と作業を行っていたりする、


 他にもHALF-LIFEがQuake系ゲームと異なる点が有る。
それはステージ(面)クリアという概念が無いという事だ。

 HALF-LIFEでは全体ステージ区間毎に、自動でステージデータのロードとプレーヤーデータのオートセーブが行われる。この間ほんの数秒の為、殆どシームレスにステージを行き来できる。

 そのために他のQuake系ゲームで行ったら不自然な、ステージを前後するような事が自然に行われているのだ。

 だから最初に通りがかった時にはどう見ても手の届か無さそうな所に有るアイテムでも、随分と経ってからお目にかかれると言う事が良く有るのだ(笑)。

 また手動セーブだけのゲームの場合、セーブするのを忘れてしまって身動きが取れなくなってしまった時に非常に困ることになるのだが、HALF-LIFEでは数カ所に渡って自動的にセーブされるため、それ程ロスをする事無くゲームを再開する事ができる。

 HALF-LIFEはステージ構成も非常に変化に富んでおり、QuakeやDOOMと言うよりDARK FORCEやShadows of the Empireに近い感じになっている。

 目が眩むほど高低差の有るステージや崩れ落ちそうな吊り橋、断崖絶壁に設けられた、人が通る幅ギリギリの道、トロッコで路線を切り替えながら走ったり、ある時にはベルトコンベアで運ばれたり激流に流されたり、まったく有り飽きさせる事がない。

 特に肉片等が漂う汚水の中を進まなければいけないシーンは、本当にDARK FORCEを思い起こしてしまった。もっとも、これは出来れば味わいたくないシチュエーションでは有るのだが(笑)。

 さて前述の様に基本的な部分でもHALF-LIFEが他のアクションゲームと比べて勝っていることが解るが、一番HALF-LIFEが他のゲームと異なる点はストーリーが非常に全面に押し出されているという点だろう。

 アクションゲームのお膳立ての為だけのストーリーでは無く、ストーリーを展開するためにアクションが有るといった感じだ。

 そのために随所でプレーヤーとNPCの会話や無線交信、場内アナウンス等が行われており、恐らくHALF-LIFEで使われている音声データは膨大なものが有るだろう(インストールに400MBも必要なのだ)。

 しかも英語の会話が良く理解できなくても、NPCの振る舞いや遠くに響く爆音等、その場の雰囲気で現在とんでもない自体が進行しつつ有ることが理解できるのだ。

それは全て、実に素晴らしい演出のお陰なのである。

 また雰囲気や演出が良くても、何時までも同じステージでプレイしていると飽きるものだが、HALF-LIFEの場合決定的な場面転換が有るため、後半だれると言ったことは一切無い。

 あまり書くとネタばれになり過ぎるので割愛するが、XENに行ってからはそれまでの次元とは全く異なる世界のため、驚嘆の連続で有ることだけ伝えておく。

 とにかく導入部分(研究施設へのモノレールでのアプローチ)から、既にHALF-LIFEが如何に念入りに造られたかが解るほどのため、このオープニングだけでもDEMOにすれば良かったのにと思うことしきりである(何十MBにもなると思うが)。

 他、メインとなるゲーム以外にもアクションゲーム初心者の為のチュートリアルが備わっているのだが、これが単純で面倒なものにならないように、ホログラフによるお姉さんのガイドも備わっているし、セクションをクリアした時にはスピーカーで所員が励ましの声を掛けてくれる事まで有る。

正に至れり尽くせりの造りが良い感じだ。


 まだまだこのゲームに関しては攻略等、書きたい事が山のように有るのだが、それではこれからプレイする人の期待を削いでしまうことになるだろうから、この位にしたいと思う(笑)。


 またこのページは導入部分だけを扱った感じになるのだが、プレイしていて詰まった場合にはDreamLand's Game WorldHalf-Life日本語攻略ページが役に立つだろうし、謎一杯のエンディングを迎えた後は、小坂氏のHPにてエンディングを考察するのもお勧めで有る。

 Herbie氏のHalf-Lifeページも同ゲームを遊び尽くす上でお勧めのページである。
特に同ゲームの画面が暗すぎると思っている方には必見の情報が有る。









  −MX300(A3D2)でのレビュー−


 HALF-LIFEは3Dサウンドにネイティブ対応していないAWE64Goldでも、音が聞こえる位置が左、真ん中(前、後ろ)、右と大雑把に解るのだが、最新の3DサウンドテクノロジーA3D2にネイティブ対応したMX300の場合、音が左から前を通り右へ、とか前から右を通り後ろに抜けて行く感じが実にはっきりと感じられるのだ。

 しかも音の移動が上下で行われている場合、AWE64Goldの場合殆ど聞き分けられなかったのに対し、MX300の場合は非常に滑らかに音が移動して行く感じが解るのだ。

 この感じはどう表現したら良いかとまどうが、AWE64Goldの場合は耳をふさいだ状態の様な感じでぼんやりと音源の位置が解るのに対し、MX300ではクリアにまるで目で見ているかのように音源の位置が解ると表現すれば良いのだろうか・・・

 しかし、それだけでには留まらない。

 何かの金属音を発した場合、周りが金属むき出しの通路の場合は、反響音が金属的にキンキンとした感じになるのに対し、広いフロアでは手元からだけ金属音がし、良く耳を傾けるとわずかに反響音が感じられるといった感じに、周りの素材や距離から全て計算された音が耳に入ってくるのだ。

 さらに無線通信の音で特殊部隊の位置が解るのだが、AWE64Goldの場合大雑把な位置しか解らず、前だと思っていたのに後ろから攻撃され非常に驚く事が有ったのだが、MX300の場合は次の角にある階段を降りた踊り場の辺りに居るといった感じに、音で位置を特定するのがさらに容易になった。

 多くのプレーヤーがゲームの場合グラフィックスを優先にし、サウンドに関してはなおざりにしていると思うが、今回のMX300でのプレイにおいてはサウンドが3Dアクセラレーターなみに重要な役割を担っていることを実感してしまった。


参考記事:
MonsterSound MX300 レビュー



























































   HALF-LIFE Uplinkレビュー


 以前までは出ることの無いと言われていたHALF-LIFEのDEMOが遂にリリースされた。

 これまでHALF-LIFEの製品版以外では、MX300添付の“Day One”しかリリースされておらず、DEMOをプレイしてからで無ければ製品版を買わない方針の人や、一見Quake系という事で敬遠していた人はHALF-LIFEの素晴らしさを体験出来なかった訳だが、これでやっと全ての人がHALF-LIFEの素晴らしさを体験する事が出来るようになったのである。

 さてこのDEMOだが、基本的なインターフェースや仕様は製品版と大差がない。
各種Configも製品版と同じだしセーブ&ロードも可能、なんとHALF-LIFEに馴れるために製品版で設けられている“Hazard Course(いわゆるチュートリアル)”まで、そっくりそのままプレイできるのだ。

 もっともオープニングでは、HALF-LIFEがどれ程高い評価を受けているかを示すムービーが流れるのだが(キャンセル可能)、これがフルスクリーンで無いのは如何にもDEMOらしい。

 さて本編のDEMOだが、プレイできるマップとシチュエーションは、完全にDEMOオリジナルのものである。

 ゲームスタート後、地震の様なもののため建物が倒壊しかける中、異常事態のために慌てふためく研究所員と警備員に話しかけられるシーンから始まるのである。

 このプレーヤーの緊張感を煽り、HALF-LIFEの世界へ引き込む演出が素晴らしい。

 私は製品版をプレイしていたので、序盤モンスターの気配を感じる中で丸腰で居る事に、非常な恐怖感を覚えてしまった。

 その後の特殊部隊との戦闘シーンに遭遇するのだが、敵の動きが非常に巧みな上に製品版では無かった演出(モンスターが特殊部隊に処理されている)など、製品版を既にクリアした私でさえ非常に新鮮なプレイを行うことが出来た。

 後半このステージを折り返す事になるのだが、行きの序盤では姿が見えないのに周囲からモンスターのうなり声が響いてくるため、かなりドキドキし周囲を恐る恐る見回しながら歩く事になる(笑)。

 また中盤で驚いた点として、電波塔を出ようとする時に何故か開かないドアの前に立っていると、突然特殊部隊がバーナーでドアを焼き切り突入して来るというシーンが有る。

 しかしこの時、思わず我を忘れてその初めて見るシーンに見とれていたため(ドアが外から焼き切られてゆく描写がリアル)、その後大音響と共に吹っ飛ばされてしまったという事が有った(笑)。

 しかしただでさえ臨場感の有りすぎるA3D2対応のMX300を使用、しかもヘッドフォンを使用し音量を上げていたため、実際にかなりの衝撃を受けてしまったのだ(音量を上げていたのは、敵の位置を把握し易くするため)。

 他にも突然目の前に現れるゾンビのごときモンスターや、触手型モンスターに捕らわれた戦闘員がジタバタしながら上に吊り上げられているシーンが目の前で展開されたり、巨大かつ凶暴なモンスターが研究所員を巻き込み轟音を立てながら襲ってきたりと、驚嘆したシーンを取り上げると切りが無いのだが、とにかくこれが50MB弱のDEMOの内容で有ることに注目して頂きたい。

 今までこれ程までに内容の濃い、不満の全くないDEMOは存在しなかったと断言して良いだろう。

 私的には、このDEMOをプレイした上でも製品版を欲しく無い人が居るのだろうか?と思った程だった。

 正にBest Game of the YearのDEMOに相応しい、Best DEMOであった。









   ASCII DOS/V ISSUE 掲載レビュー



 私の書いた簡単なHALF-LIFEレビューがASCII DOS/V ISSUEに掲載されたので、それを記念して原文を掲載したいと思う。


 −以下原文−

 一見Quake系3Dアクションゲームながら、練り込まれた素晴らしいストーリーにより殆ど3DSFアドベンチャーゲームと言えるゲームに仕上がっている。
プレイしている内に随所に見えてくる映画的な演出には感動させられる一方だった。

 まずゲームを開始すると、いきなりモノレールでの通勤途中から始まるのに驚かされた。
結構な時間モノレールに揺られることになるのだが、途中で見ることの出来る研究施設内外のオブジェクトに随時流れる車内アナウンス。
A3D2に対応したサウンドカードを使用しているなら、正に自分が今モノレールに乗って地下施設へ移動しているかのような錯覚を味わうことが出来る。

 モノレールを降りた後も一向に戦闘シーンなど始まらず、これが本当にアクションゲームなのかと疑う人も居ることだろう。
そう、このゲーム初の戦闘シーンは研究施設に入館するためのスーツを着込んだり実験を開始するために様々なプロセスを経たりした後の、実に数十分プレイした後でないと迎えることが出来ないのだ。

 もっともそのお陰でプレーヤーは、高出力実験が失敗した後の研究施設内の壮絶な様子に当惑しながら、未知なる世界に放り出される感覚を味わうことが出来るのだ。

 この様にこのゲームはアクションよりも演出に重点が置かれているため、Quake系にありがちな派手な武器は登場しないのだが、98年のもう一つのMyベストゲームに挙げられる
RaibowSixの様に実際に存在する武器が主に登場し、それぞれの武器にリロード時間が設定されていたりとリアル指向になっている。

 このリロード時間を設けたシステムの利点は、リロードし忘れたときにエイリアンに出くわした時の恐怖感に尽きるだろう。

 そう、この恐怖感に関する演出だが、HALF-LIFEをA3D2対応音源でプレイした時には更に凄まじいものが有るのだ。

 壁一つ隔てた所に潜むエイリアンのうなり声や足音、近づいてくる特殊部隊の無線交信音、直上に響く爆撃の轟音等、これ程音を効果的に使用したゲームはHALF-LIFEが初めてではないだろうか。

 HALF-LIFEに関しては書きたいことは沢山有るのだが、何はともあれ是非一度プレイする事をお勧めする。
サウンドカードはA3D2かEAX対応を是非ともお勧めしたい。
また更に詳しいレビューをWEBページで行っているので、それも参考にしていただけると嬉しい。
いくぽんHP URL http://www.nnet.ne.jp/~akira/(注:現在はhttp://wakusei.cplaza.ne.jp/ikupon/です)


HALF-LIFEをプレイする上でのコツ:

 難易度EASYでプレイする限り、銃撃戦で苦労することはあまり無いだろう。
強いて言えば、弾薬の無駄遣いはしないと言う事くらいである。

 それよりもジャンプ等のアクション要素がクリアに必須のため、アクション要素を学べるチュートリアルを一度はプ レイされる事をお勧めする。

 後はグラフィックスパワーがゲームの動作に非常に影響を与えるため、高速な3Dカード(Voodoo2等)とP2-300クラスのCPUは必須と言えるだろう。
もっともP2-300+Voodoo2(MiniGL)でも、Time Demo (blowout.dem)で30fpsを越えることは難しいのだが。