RACING FRAME ON


■ Viper Racing DEMO  ★★★★★

SierraによるDirect3D対応、カーレースゲーム。

 このゲームは珍しい事に、その名の通りまさにDodge Viper GTS-RオンリーViper尽くしのものとなっている。
また開発にはIndy Car RacingやNascar Racingで有名なPapyrusが携わっている。

 このDEMOでは一つのコースを二周のみ走行可能なのだが、リアリズムをアーケードからシミュレートの三段階。走行モードが最大8台までのノーマルレースとタイムアタック、ゴーストとのレースの三種類を選ぶことが出来る。

 実際シミュレートで走行してみると、さすがPapytusが開発に携わっただけ有りかなり実車に近い挙動をしてくれる。
オーバースピードでコーナーリングしたときの感じやブレーキングでスピンさせた時の感じは、最近のレースゲームの中では一番グランツーリスモに近く感じられた。

 特にこのリアルな走行感は視点をシャーシにした時に顕著で、目の前でリアルに動くサスペンションとフロントタイヤを見ていると、このソフトがいかにリアルにシミュレートされているかが解り感銘さえ受ける。
さすがにこのリアルな走行感はアーケードに設定した時には若干緩和され、アーケードでは程良く気持ちの良い走行感覚を楽しむ事が出来る感じだ。

 グラフィックスに関しては景色に割いているポリゴン数が若干少なく感じられたものの、テクスチャーはなかなか美しく及第点は与えられる。
しかしViper自体の表現にはかなり力が入れられており、車体は滑らかに美しくモデリングされ陰影処理もリアルタイムに行われ、窓も今時の流行に即して半透明処理されている。
流石Viper専用ソフトだけ有るという感じだ(笑)。

 また珍しいことにゲーム内にベンチマークが備わっており、これによると200MMX+Voodooではグラフィックス設定を最高にして30fpsとの事だった。
実際に走らせてみても全8台が走行しているにも関わらず滑らかな描画を行っており、この点で不満を感じることは無かった。

 各所で色々言われているスピード感だが、確かにアーケード指向のゲームと比較するとスピード感は若干足りないように思われた。
しかしこれが不満に思えるほど遅いというわけではなく、リアルな走行性から考えてもこれが程良いのでは無いだろうか。
アーケード指向のゲームの中には平気で300km/hを越えるものも存在するが、このゲームはせいぜい200km/h止まりなのでこれで十分だろう。

 コースも細かなバンプが表現されており、高低差も適度に有るうえバンクの付いているコーナーも有るなど、なかなか良く考えられたレイアウトである。
コース幅も十分に取られているため、走っていてストレスも感じない。


 他にもこのゲーム(DEMO)の特徴を挙げてみよう。

 まず最近のDEMOとしては珍しく、オプション類が非常に充実している事が挙げられる。
 
 グラフィックスでは解像度、ディテール、ディスタンス、スキッド、シャドウ、スモーク、ミラー、リフレクション、フィルタリング、シェーディング、フォグ、ミップマップ、スカイテクスチャのON/OFF。
さらにベンチマークもここで行うことが出来る。

 コントロールでは各キーアサインが出来るが、クラッチ(!)やエンジンブレーキ(!!)、さらにはエアリフト(!!!)まで設定できるのが面白い。
また、各デバイスがどの位作動しているのかメーターで視覚的に表示するシステムは、特に特筆すべき点として挙げられる。
これによりセンシティビティの設定でも、実際の操作デバイスでの移動量とゲーム内での移動量が容易に把握出来るようになっている。

 またドライビングエイドではシフトやクラッチのオート/マニュアル、ABS、トラクションコントロール、ヨーコントロールの設定。
サウンドではボリュームに加え、再生品質やレートの可変も行える。
自前でHACK項目を持つゲームも始めて見たような気がする(笑)。

 車体の設定に関してもF1RS程では無いにしてもかなり細かく行え、シャーシに関する設定からギア非の設定、空力の設定も行うことが出来る。
これも注目すべき点だが、設定変更の効果を確認するために、このメニューから直ぐにテスト走行を行えるのには驚いた。実に親切で配慮の行き届いたシステムである。

 他にも車体カラーの設定やダメージのON/OFF、ゴーストの走行モード等ありとあらゆる設定がDEMOながら可能になっているのだ。

 余りにも特筆すべき事が連なったため後回しになってしまったが、恐らくレースゲーム中最多量を誇る視点数と自在なリプレイ機能も、このゲームの特徴となっている。

 視点に関してだが、リアルタイムに動くハンドルやメーター類が確認できるコックピット視点、全画面のバンパー視点、先でも述べたがリアルタイムに動くサスペンションとフロントホイールを見ることが出来るシャーシ視点、後方視点に追尾が中高低3種、前方から自車を望む視点に上空視点2種、さらにTV視点のなんと全11視点を装備している。
ルームミラーも備わっている点が好感度をさらにアップしている。

 さらにリプレイ機能だが、前述した11視点を全てリプレイでも使える上、再生を自在にコントロール出来るダイヤルを装備、AIカーもリプレイ可能、さらになんとリプレイデータの保存まで可能!
もっともTV視点が今一迫力不足のような気もするが、これはもっと視点を車体に接近させた方が良いと思う。

 またこれは機能とは関係ないが、コース中の池の中に入れる上、入った車はプカプカとリアルに浮き、水面下に没してしまうとなにやらシュノーケルでドライバーが呼吸する音が・・・

 さらに(しつこい?)コース以外にもかなり自由に走れ、なんとコースを遙かに外れた丘の向こう側まで走行可能!
もっともあまり行きすぎるとスカイダイブする羽目になるが、これ程までに遊びを取ったレースゲームが過去に有っただろうか?

 もうDEMOとしては求める事が無いほど至れり尽くせりのゲームとなっており、まったくもう恐れ入りました状態である(笑)。

 欠点を挙げるとすれば、スキール音が若干耳に付く感じで、しかも少しハンドルを切っただけで聞こえ始めるという点だろうか。
エンジン音も、CMRのあの凄まじいエンジン音を聴いた直後の私の耳には物足りなく感じられた。

 しかし最近のゲームにしては珍しく起動もゲームスタートも殆ど待たされることがいなど、本当に良くできたDEMOと言うことが出来るだろう。


 // 2nd Version DEMO //

 ViperRacingの2ndDEMOがリリースされた。

 主な変更点は以下の通り。

・よりリアルになったエンジン音。
・路面テクスチャーの向上。
・スキッド音の修正。
・カスタムペイントの強化。
・Cyrixサポート。
・2MB-VRAMのサポート。
・AWE64での問題点の改善。

他にも細々とした改良が加えられている。

 しかしこの中で一番嬉しい改良点はエンジン音とスキッド音に関するものではないだろうか。
エンジン音はより迫力の有るリアルなものとなり、スキッド音の甲高い音も押さえられ、鳴り出すタイミングもやや緩和されている。
このお陰でほぼ完全に欠点が無くなり、ドライビングもより楽しいものとなった。

 またカスタムペイントも今までは単にパターンとカラーの指定しか出来なかったが、新しいバージョンではNascarRacingの様に簡易ペイントツールで自由に塗れるようになった。
さらにステッカーチューンまで出来るように、様々なステッカーが選べ自在に張ることが出来るようになっている。
その場で即、ステッカーやペイントの塗り具合を3D視点で自在に見ることが出来るようになったのも改良点の一つだ。

 さらにこれは今回の変更点とは関係ないが、ViperRacingのクラッシュダメージ再現性もTTCCを越えて随一のもので、車体はシャーシの形が変わってしまう程までに変形するのが凄い。

 またこれも前回のレビューでは触れなかった点だが、ViperRacingのAIドライバーはTTCCの様に全て独自に判断して各車を操作している。
そのため前の車を避けようとしてスピンしたり、互いにクラッシュしてリカバリーする様子等を見ていると、まるで人間が操作しているようにすら感じられる。


 このDEMOで見られる細やかな配慮も、さすがSierraと言わせるだけの事は有るだろう。

 ViperRacingの高度なリアルさを味わうためには、ハンドルでのプレイは必須である。


  








  








  








  








  



■ Superbike World Championship DEMO  ★★☆☆☆

Virgin Interactive によるDirect3D対応、バイクレースゲーム。

 Castrol Honda SuperBike Racingに引き続き、リアル系のバイクゲームのリリースだ。
制作はScreamerシリーズでお馴染みのMilestoneが担当している。

 このゲームはレースを気軽に楽しめるアーケードモードと、リアルなセッティングやシリーズ戦を楽しめるシミュレーションモードが備わっており、バイクはDucati 916,、Honda RC 45、 Kawasaki ZX7R、Yamaha YZF、Suzuki GSXR、コースはDONINGTON、MONZA、HOCKENHEIM、SUGO、MISANO他全12コースが備わった本格的スーパーバイクレースゲームである。

 DEMOではアーケードモードとシミュレーションモードが選択できるのだが、なぜかシミュレーションモードではメニューが途中から選択できなくなっている。
結局アーケードモードしか走れないのだろうか?

 さてこのアーケードモードではバイクがDucati、コースはMONZAを選択できる。
視点はライダー、カウル、追尾が2点の全4視点が備わっており不足はない。

 グラフィックスもCastrol Honda SuperBike Racing以上の美しさで、さらにバイク本体に関しては現在最高水準のリアルなモデリングを行っている。
さらにそれでいて、動作はそれ程重いと感じられない。
またサウンド面も申し分ない。

 と、ここまでは良かったのだが・・・
このDEMOには致命的欠陥が二つ有ることに気が付いた。

 まず一つ目は、バイクが全く思った通りに曲がらないこと!
スティックの入力に対して、車体の反応が遅すぎる。
しかもセンシティビティは最高に設定してだ。

 さらに車体が倒れ始めてからも、殆ど曲がらない。
スピードを落とせば確かに曲がれるのだが、これでは爽快感のへったくれも無い。
アーケードは走る爽快感が命なのだから、もっと操作性を上げるべきだ。

 もう一つ、これはDEMOとしての欠陥なのだがプレイできる時間が余りにも短すぎる!
ゲームがスタートして実際に走れる時間がたったの1分40秒!
これではMONZAを一周も出来ないではないか。

 またこれはおまけの欠点なのだが、ライダー視点とカウル視点が全く使いものにならない。
もっともバイクゲームでは大抵同じ様な傾向なので、これは仕方がない点かもしれない。

 グラフィックス面では最強に近いのに、操作性で大損をする可能性大のゲームなのが非常に残念だ。





  

  

  



■ SPEED BUSTERS DEMO  ★★★★☆

Ubisoft によるDirect3D、Glide対応、カーレースゲーム。

 つい最近このゲームの情報がリリースされたような気がするのだが、なんと早速DEMOが登場した。
期待しているゲームのDEMOは何時までも出ないのに、対して感心の無いゲームのDEMOが素早くリリースされるとは・・・

 このDEMOではアメリカンタイプの車が一台と、ハリウッドコースを走行する事ができる。
NICE2の様に予算内で車やパーツを購入するシステムなのだが、普通(?)のゲームと違い見栄えだけのドレスアップパーツが揃っているのが、アメリカのヤンキー車っぽくて良いかもしれない。
また外装も変更できるので、お好みのヤンキー車に仕立て上げることができる(笑)。

 またSETUPを手抜きするDEMOが多い中で、コントロール関係のセットアップだけでも出来るのは有り難い。
特にハンドルを使うときにはセンシティビティーの設定は必須だと思う。

 グラフィックス等の設定は出来ないが、スタート時に一応設定できるので困ることは無いだろう。
サウンド関係も直接iniファイルを編集すればOKだ。初期状態ではBGMがうるさすぎるので、BGMボリュームは低めの方が良い。

 さて実際の走行の方だが、ニトロブースターが有るのは面白い。これはRLR譲りだろう。
しかしこれを使うとコントロールし難くなるのもRLR譲りだ。流石にウイリーはしないが(笑)。

 コントロール性はハンドルでセンシティビティーを最小に設定してちょうど良い感じで、それ以外の設定やキーボードやパッドだと走りにくく感じる。

 またこのゲームもご多分に漏れず接地感が無いに等しいので、今一走っているという感覚がしない。
NFSシリーズよりはマシだが、GTには劣ると言った感じか。

 しかし視界の面ではGTの様に車幅が掴みやすく、スピード感も有ってなかなか良い感じだ。
もっともこれは全画面視界の時だけで、他の後方追尾視界はどれも視点が低すぎて見通しが悪い。
また、ドライバーズ視点は備わっていない。しかしルームミラーが備わっているのはプラスだ。

 グラフィックスに関しては十分合格点が与えられる。
RLR譲りの美しい風景で、描画も十分に高速だ。
特に特筆すべきなのは夕暮れ時の走行で、非常に美しい黄昏のハリウッドを味わうことが出来る。

 またこのゲームはオブジェクトも非常に凝っており、突然飛び出してくるジョーズや道を横断する恐竜に、いきなり車を叩きつぶそうとするキングコング、突然水の噴き出すマンホールなど飽きることがない。
コースも、市内の直角カーブから特撮用セットの中の橋を渡ったり多様である。

 これらの点を考慮に入れると、このゲームはドライビングそのものを楽しむのではなく、熱くチューンしたヤンキーアメ車を駆って、アメリカン100%な風景を満喫すると言うのが正しい楽しみ方なのかも知れない。

  
  
  
  
  



■ Motocross Madness DEMO  ★★★★☆

MicrosoftによるDirect3D専用、モトクロスバイクレースゲーム。

 目を見張るような滑らかな地形描写で、ホントにこんな画面で動くのか?と言われたほどのゲームのDEMOが公開された。

 DEMOでは2つのコースを走ることができ、IGZなどでのマルチプレイにも対応している。
他、MSのゲームDEMOらしくゲームコンフィグ等に制限は設けられていない。
グラフィックス設定や音響設定、コントロール設定からバイクの設定まで細かく行うことが出来る。
この辺りの親切丁寧さは、是非とも他のベンダーさんにも見習って欲しいと思う。

 さて実際に走ってみた感想だが、とにかく第一印象は地形が美しいの一言に尽きる。
かのVOXEL SPACE2や普通のポリゴンで描画したものとは、明らかに質が違うのである(これもポリゴンなんだろうが)。
こんな画面でフライト物が動いたら、などとも思ってしまう。

 地形は非常に自然な起伏で構成され、レース用のコースではバンクからウオッシュボード、テーブルトップに至るまで、非常にリアルに再現されている。
エンジン音もリアルで、アイドリングの時から加速中の音まで全く不満も無く、雰囲気を盛り上げてくれる。

 ところでこのゲームでは、他のオフロードバイクゲーム(と言ってもMotoくらいか)との差別化を設けるためか、それともリアルさを増すためか、体重移動が非常に重要な要素を占めるようになっており、 ハンドルとは別のコントロールで体重の前後移動、また空中での左右の姿勢制御が走行の鍵を握るようになっている。
当然無理な姿勢で着地すれば転倒は必至である。

 しかしこれは実際にモトクロスバイクでオフロードを走ったことのある人なら直ぐに馴染めるかも知れないが、そうでない人にはレースに集中するのを妨げる只の邪魔なだけのシステムになり得るのではないだろうか?
もっともレースではないフリー走行の時に、思う存分ジャンプで体重移動を練習することは可能だが。

 しかし体重移動を抜きにしても、バイクの挙動は本当にリアルだ(コーナーリング時に車体を倒し込む動作をしないのは違和感があるが)。

細かいところまで、実際にバイクで走ったときと同じ動きをするのには驚かされた。
MotoRacerに有ったようなターボが無いことからも、このゲームはアーケードよりモトクロスシミュレーターに近いと言えるのではないだろうか。

 もっともそのため、高速でドライブするバイクの爽快感を求めてこのゲームをプレイする人の期待に、このゲームは添うことは出来なくなっている。
実際にMotoRacerの様な気分でレースをするとしたら、スピード感もコントロール性も全く異なるためがっかりする事は必至である。
Microsoftは方向性を間違えたのでは?とも思ってしまう。

 しかしゲーム性は足りなくても、実際に人間どうしでプレイするならまた別だろう。
みんな同じ状況でレースする訳だし、DEMOのコースでも非常に変化に富んでいるので、バイクで遊ぶのには最適だろう。